離婚調停と別居 ~調停中の生活費(婚姻費用)は配偶者からもらえるのか?~  

2022年7月11日

こんにちは。mocha(モカ)です。

私は数年前に夫と離婚調停を経験しました。その際に、別居期間中の生活費(=婚姻費用)についても請求の申し立てをしました。もう夫と一緒に住むことは出来ないと「別居」という言葉が頭をよぎっても、でも「別居したとしたら別居後の生活費が不安だ」と経済的な面で悩むこともありますよね。

「婚姻費用 夫」などと検索すると弁護士事務所や見識のある方のサイトが色々ヒットしてくると思いますが、私の経験上婚姻費用の対応をした際に「そうだったんだ」と思ったことを記載しようと思います。あくまで1個人の経験談になりますので具体的な動き方は法テラスや弁護士の先生に相談することをおすすめします。

1 婚姻費用の請求は離婚調停申し立てとは別!請求(申立)時から計算されるので早めの申し立てを!

そもそも離婚前の夫婦には相互の扶助義務があります。婚姻費用とは、離婚前の夫婦の収入が多い方から少ない方へ渡す生活費のイメージですね。双方の話し合いで毎月〇〇円どちらがどちらへ渡すと決まっているのであれば問題ありませんが、話し合いができず、生活費を受け取れない状態になってしまっている場合は、家庭裁判所に婚姻費用の請求を申し立てすることができます。

申し立てをする場合、最終的な婚姻費用の計算期間は、申立時~離婚時までの期間となります。例えば、2020年1月から婚姻費用が受け取れない状態だったにも関わらず、申し立てをした時期が2021年1月であったとすると、家庭裁判所が計算する婚姻費用の算定期間は2021年1月分からになってしまうため、1年分損してしまうことになります!

ご自身が婚姻費用を請求できる立場の場合は、早めに動くことをおすすめします。

2 婚姻費用を請求したいが相手方が病気で働けない状態にある場合

1のように、一旦は申し立てを行ったものの相手方に収入が無い場合はどうなるのでしょうか。

残念ながら相手方に無職期間があり、且つ持病を持っていた場合は無職期間中の婚姻費用を貰うことはできませんでした。しかし、相手方が健康で働ける状態であるのに嫌がらせのために仕事を辞めてしまった、といった場合など潜在稼働能力があると看做される場合は、「賃金センサス」という指標を基に「もしこの人が退職せずに働いているとしたら」といった仮定で理論上の年収を計算し、婚姻費用を算定することが可能です。しかし、実態として病気のため次の就職先を見つけることができない状態であると裁判所で認められると、その期間は相手方に婚姻費用の負担義務が無いとされます。

3 どちらも健康で相手方にも自分にも収入がある場合

一方で、自分も相手方も両方働いている場合は、双方の収入を示す書類(源泉徴収票など)の提出が求められました。裁判所では、双方の収入を基に計算式を使い双方の「基礎収入」と呼ばれるものを算定します。そこから生活保護基準や教育費に関する統計を加味し、理論上の双方の生活費を計算する「改訂標準算定方式」(2019年12月~)を使って、あなた側に、基礎収入の割に理論上の生活費がいくら足りないか(=婚姻費用をいくら貰えるのか)を算定してくれます。

下記は少し難しいですが裁判所のHPのリンク先になります。子供あり・なしなどケース別の算定表も閲覧できますので目安にはなるかと思います。

平成30年度司法研究(養育費,婚姻費用の算定に関する実証的研究)の報告について | 裁判所 (courts.go.jp)

私も相手方に収入があった期間は改訂標準算定方式で計算された金額をベースにいくらか貰うことができました。

4  相手方より収入が低くても婚姻費用を貰えない場合もある

例えばDVなどのように、離婚の原因を作ったと認められた立場(有責者の立場)であれば、相手方に婚姻費用を請求しても貰えない可能性が高いです。実際、夫と私では私の年収が高い期間がありました。夫からはその期間は逆に婚姻費用を私が払うよう請求がありましたが、その点裁判所の方で棄却され、私が夫に婚姻費用を払うことはありませんでした。

最後までお読みいただきありがとうございました!

如何でしたでしょうか。離婚成立までの期間は裁判所が入ると思った以上に長丁場で精神的にも苦しいものになりますので、可能性がある場合はお相手との話し合いや裁判所への申し立てを早めに開始するのが良いと思います。私の経験が少しでもお役に立てれば幸いです。

他にも離婚に関する記事を掲載していますので、よろしれば御覧ください^^